19世紀後半，アメリカの黒人たちは，奴隷身分から解放はされたが，その後も，人種差別や偏見の根強いの社会機構の中で，最悪の生活を強いられていた。そういった中，彼らは，アフリカ伝来の強烈な精神性を持つ教会音楽ゴスペルや，即興的なメロディのブルースを発展させていった。1900年頃に，アメリカ南部のニューオリンズで器楽演奏を主体としたアフリカ系アメリカ人の音楽形式と西洋音楽の技術と理論が融合して生まれた。演奏の中にブルー・ノート、シンコペーション、スウィング、コール・アンド・レスポンス（掛け合い演奏）、インプロヴィゼーション、ポリリズムなどの要素を組み込むこむジャズとして発達し，1920年代には，ポピュラー音楽の主流となっていった。当初2拍子であったジャズは，1930年代には“揺れる”（スウィング）ような躍動的な4ビートへと変移し，ダンス音楽として中心的な役割を果すようになり，1930年代に一般化してきたラジオ放送にのって，全国に広まっていった。この頃になると白人音楽家も台頭し，ビッグ=バンドによる演奏が行なわれるようになってきたことも注目される。